種ガンダム(主にアスカガ)のブログサイト
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三つの運命が黒歴史になる……前に
雑。この一言に尽きるかな。
何がやりたいのかはさすがに分かるのですが、その必要な展開に持っていくまでの描写が雑なところが多々あり、感情移入が難しかったです。
元々、「ガンダムを今の子供向けに翻訳する」というのが本作品のコンセプトなので、画期的な傑作を期待していたわけではありませんが、もう少しきちんと繋いでいけば、佳作にはなる可能性は充分にあったはず。
おそらく「子供向け」という縛りに囚われ過ぎたんじゃないかと思います。
子供にも分かるようにデフォルメしたり、単純化しすぎて、展開が安くなってるのも問題なんですが……省略化するのは、もっと問題です。
特に、人間関係やキャラの掘り下げを省略するのは一番いけない。どうして非戦闘員のディケが戦艦に乗り続けるのか、どうしてフリットにガンダムが任されているのか、どうしてディーヴァクルーが軍規に背いてまでグルーデックに着いていこうと思ったのか……そういう違和感が常にストーリーに付いて回っていたような気がします。
その傾向が一番顕著に現れてたのが、ユリンの死ですね。殺す理由もいまひとつしっくりこないんですが……それより、殺すなら殺すでも良いんですけど、ユリンの中身が描けていなかったから、悲劇性が足りなかったような。知らない人間より、知っている人間が死んだ方が悲しいはず。
「ガンダムというアニメには、こういうキャラを用意して、こういうメカを出して、こういう展開にしなければならない」というのは理解しているものの、必然性が上手く説明できていない箇所が多い。ガンダムを知らない子供たちに説明しなければならないわけですから、どうすれば分かりやすくなるのかを考えなくてはならないはずなんですけどね。
もう一つ気になっているのは、大人の存在感が薄いこと。
子供の稚拙な正義感が、大人を説得してしまうような展開は、受け入れがたいものがあります。子供を安易に持ち上げることで、大人が馬鹿っぽくなっていき、ボヤージ、ラクト、あとバルガスが一番被害を蒙っていたと思います。
展開上、仕方がない部分もあるんですけどね。(アンバット攻略戦に向けて、グルーデックの思惑がディーヴァクルー達を動かされなくてはいけない→そのために、フリットの想いが利用されている)
まあ、ストーリーは、人それぞれ好みがあるかもしれませんけど、もう少し戦闘シーンに迫力があってほしかったかもしれないな。画があまり動いてない。そんなそうそう気合の入った画が描けないなら、ストーリーで工夫するか。
AGEシステムも、もっと「分かる人だけ分かれば良い的」にマニアックな方向で、やっても良かったんじゃないかな~。MS鍛冶の家系や、民間のMS工場という珍設定が、旨味に変わったと思うんですよね。
MSが格好良くないと、プラモデルが売れないんじゃないか……。(商売気があるのか、ないのか)
プラモデルといえば、フィギュアはどうなんでしょう?子供向けだから販売されてないのかな?
キャラデザが萌え路線ではないし、あんまり、オタク受けするようなキャラがいなかったかもしれないなあ。(総じて、キャラクターの印象が薄かった)
BL的には、フリットとウルフ(とラーガン)?男性向けなら、エミリーとユリンですな。
劇中で使われている音楽は、けっこう好きでした。
OPは、不評だったらしいけど、子供向けを意識したらこうなったんじゃないのかな?
EDはキャッチーで、みんな一回聞いたら耳に残る曲だったと思います。エンディングでありながら始まりを予感させるような曲ということで、OPにして欲しいという声が多かったようですね。ヘルメットに一瞬映るユリンや、エミリーとの微妙な距離感が、ストーリーの暗喩になっていたのが良かった。この二番の歌詞が未来から過去を振り返るようになっているので、4クール目のOPとかになったりしないかな……
まあ、そういうわけで、15話きちんと拝見したので、思いのたけを述べさせていただきました。
「三世代に渡る物語」の真価が発揮されるのは、アセム編からですね。
※ちょっとした小ネタ
※男性向け同人誌風
※本編のイメージを大きく覆す恐れあり
【エミリー編】
その暗い部屋には、モニターの微かな明かりが浮かび上がっていた。
突然の来客に驚くこともなく、グルーデックはひたりとエミリーを見据えてきた。
「来ると思っていたよ、エミリー」
彼のように頭の良い大人の男には、エミリーのような小娘の考えることはお見通しであったのだろう。なけなしの勇気と知恵を振り絞ってきたつもりのエミリーは、臍を噛む思いだった。
「私、見たんですよ! 貴方が、ディーヴァの艦長達を拘束して、この艦を乗っ取ったこと!」
「ほう……それは、それは……」
グルーデックのふてぶてしい態度にエミリーは怯んだが、だからといって、ここで退くわけにはいかなかった。
「このことがバレたら、拙いんじゃないんですか? ばらされたくなかったら、フリットをガンダムに乗せるのは止めて!」
「バレて困ることはないね。私には頼りになる『友人』が多いものでね。私の罪が明らかになることはない」
エミリーは愕然とした。
「そもそも、私がフリットにガンダムに乗れと指示したわけではない。フリットこそが、ガンダムという力を求めているんだ」
「フリットは……フリットは、普通の男の子なんです。でも、お母さんがUEに殺されたから……そんな彼の救世主になりたいって気持ちを、貴方は利用しているだけじゃない!」
「……そこまで言うのなら、君の言うことを聞いても良い。この艦の責任者は私だ。フリットをガンダムのパイロットから外すことなど、造作のないことだ。でも――」
サングラスの奥にある瞳が妖しく光った。
近づいてくるグルーデックの姿に、底知れぬ不安を感じ、エミリーは後ずさる。
「でも、ただというわけにはいかないよ」
エミリーの腕を、力強い手が掴んだ。エミリーの着ているワンピースのファスナーが下ろされる。
「何を――!!」
「君は、フリットをガンダムに乗せたくはないんだろう?」
「そんな! やめて!」
若木のように瑞々しい少女の肢体がしなる。
「嫌なら、止めても良い。でも、その場合フリットは――」
「貴方、あなた……卑怯よ……」
人形のように愛らしい白い顔には、幾筋も涙が流れ、モニターの光を反射していた。
(以下略)
【ユリン編】
養父バーミングスは、決して悪い人ではない。むしろ、使用人にまで慕われるような紳士である。
だが、ユリンの鋭敏な第六感は、どこかしら彼の笑顔に胡散臭さを感じていて、ユリンは、彼に懐くことができないでいた。
その感が当たっていたと分かったのは、フリット達がこの屋敷を一週間程滞在し終えた後のことだった。
「誰……?」
突如屋敷に現れた黒ずくめの男たち。
彼らを従えている、小さな男の子が言った。
「火星……と言ったら分かるかな? 僕たちの頼みを断ればどうなるか、分かっているよね」
動揺するユリンに、小さな男の子は、その身の丈に合わぬ邪悪な笑みを浮かべた。
「いや、嫌です」
自分は生き延びてフリットとまた会うのだ。フリットは宇宙で星を見せてくれると約束してくれた。
ユリンは怯えながらも、必死に彼らから距離を取ろうとした。
しかし、そんなユリンの様子が、小さな男の子の嗜虐心を煽ったようだった。
ユリンは男たちに取り抑えられた。
「お前たち、やっちゃってよ。ちょっとお仕置きしてやらないと、分かんないみたいだしね」
「お義父さん! 助けて!」
無情にも、バーミングスの顔がそらされる。
それからのユリンは、弱い獣だった。腹を満たすためではなく、退屈しのぎにいたぶられる、弱い獣だった。
(以下略)
安っぽい展開でごめん……
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