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種ガンダム(主にアスカガ)のブログサイト
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※※このお話には、暴行描写がありますので、苦手な方はお気を付け下さい。
   また、管理人は、決してDVを容認しているわけではありません。※※




 ※アスカガ夫婦パロ
『一日の終わりは、手をつないで――』 1

 



 ふっ、と白くて明るいところに投げ出されたような感覚を覚え、アスランは瞼を上げた。
 ぼやけた目で辺りを確かめたが、予想に反して部屋の中は薄暗かった。この部屋の遮光カーテンは優秀らしい。それでも、漏れている光の具合から、太陽が随分と高く昇っていることが分かる。
 正確な時間を知るべく、枕元の目覚まし時計を見ようと首を捻ると、脳みそが鉛にでもなったかのように重い。頭だけではない。胃は凭れ、腰も怠い。最悪の目覚めである。
 現在の時刻は十一時二十六分。休みとはいえ、完全な寝坊だ。
 柔らかいマットレスに沈んだ、気怠い半身を起こす。その時思わず出した情けない呻き声が、しんと静まった部屋に響いた。
 アスランは、そこで初めて、自分ひとりが寝室に残されていることに気が付いた。隣で寝ていたはずの伴侶は、もうとっくに起床しているようである。
 起こしてくれれば良いのに……、とぼやいて、それが身勝手な考えであることに、はっとして思い至った。
 ダブルベッドの左半分を見ると、皺の寄ったシーツのところどころに、血が付いている。
(昨夜、俺、カガリに――……)
 断片的な記憶であるが、確かに覚えている。

 ――女の悲鳴じみた叫び声と、見開かれた瞳から溢れた涙。幾筋にも涙は流れ、頬は濡れて暗闇に光っている。やがて声は途切れ、啜り泣きへと変わっていった。

 一通り思い出すと、愕然として、自らへの怒りで震えが起こる。昨夜、アスランがカガリに強いたことは、決して許されることではなかった。
 妙な胸騒ぎがし、家中を探し回った。あれほど重たかった身体は、驚くほど素早く動く。片っ端から部屋のドアを開けたが、カガリはどの部屋にもいなかった。トイレ。バスルーム。庭。ガレージ。そこまで捜して、どこかに隠れているのではないかと、戸棚やクローゼットを開ける。
 ゴミ箱の中まで覗いて、アスランは漸く自分の馬鹿さ加減に気が付いた。確かにカガリは華奢な身体つきをしているが、こんな小さなところに入れるわけがないのだ。
 落ち着け。もうすぐ昼食の時間だ。近所のスーパーにでも、買い物に出かけているに違いない。アスランは、そう自分に言い聞かせて、身支度を整えることにした。


 そうして、シャワーと着替えを済ませ、ダイニングの椅子に座ってカガリの帰りを待っていたが、徒に時間が過ぎていくだけであった。
 鼓動が痛いほどに胸を叩き、苛立ちだけが募っていく。
 苛立ちは怒りへと変わり、自分を何度も責めた。もう、カガリが帰ってこないのではないかと、ひとり不安を抱えて、涙が出そうになる。
 一時を五分ほど過ぎた頃が、アスランの限界であった。いてもたってもいられなくなった彼は、財布だけを手にして家を飛び出したのだった。





     【目次】 ≫ススム


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今更ながら、種ガンで二次創作。
いつかは、サイトになるはず……

だったけど、なりませんでした。
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