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※アスカガ夫婦パロ
『一日の終わりは、手をつないで――』 3-1



 家に帰り着くと、まず携帯電話を捜した。やはり、昨日着ていたスーツの上着のポケットに入ったままだった。携帯を取り出すためにスーツに触れた時、布地に染み込んだ酒とタバコの臭いが鼻に付いた。
 その臭いが、昨夜の記憶を喚起させ、アスランを責め立てる。

 どす黒い鬱屈を開放したくて、カガリを――
 
 このまま、罪の意識に呑み込まれていきそうだったが、失いたくないという必死な気持ちの方が勝った。拘泥から逃れるように、頭を一つ振る。
 アドレスを呼び出すと、祈るような気持ちでカガリに掛けた。
 だが、十数回の呼び出し音が鳴ると、留守番電話の無機質な声に切り替わってしまう。めげずにそれを何度も繰り返したが、何度掛けても結果は同じで、次第に祈りが諦めに変わっていく。
 ――きっと、カガリは意図的に、アスランからの電話に出ようとしないのだ。
 暗澹とした気持ちで、それでも望みを託して、カガリにメールを送る。文面は、「すぐに連絡してほしい」ということしか書けなかった。

 それから、かなり低い確率しか残されてはいないが、カガリの友人に電話を掛けた。だが、それも、共通の友人が少ないために、すぐに終わってしまう。
 最後の一人は、カガリの学生時代の友人だった。
 電話の向こうで、赤ん坊の泣き声がする。子どもをあやしながら、彼女がアスランの問いに答える。
 しかし、その返答も、アスランが望んだものではなかった。「忙しいところ申し訳ない」と謝って、短い通話を終わらせた。
 考え付く限りの行き先を当たり終わり、アスランは途方に暮れた。
 カガリが他に行きそうな場所すら思いつかないなんて――
 最近は、仕事が忙しくて、カガリと碌に話もしていない。
 
 ――離れて不安になるなら、もっと大事にしてあげれば良かったのだ。




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今更ながら、種ガンで二次創作。
いつかは、サイトになるはず……

だったけど、なりませんでした。
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