種ガンダム(主にアスカガ)のブログサイト
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
※アスカガ夫婦パロ
『一日の終わりは、手をつないで――』 3-1
家に帰り着くと、まず携帯電話を捜した。やはり、昨日着ていたスーツの上着のポケットに入ったままだった。携帯を取り出すためにスーツに触れた時、布地に染み込んだ酒とタバコの臭いが鼻に付いた。
その臭いが、昨夜の記憶を喚起させ、アスランを責め立てる。
どす黒い鬱屈を開放したくて、カガリを――
このまま、罪の意識に呑み込まれていきそうだったが、失いたくないという必死な気持ちの方が勝った。拘泥から逃れるように、頭を一つ振る。
アドレスを呼び出すと、祈るような気持ちでカガリに掛けた。
だが、十数回の呼び出し音が鳴ると、留守番電話の無機質な声に切り替わってしまう。めげずにそれを何度も繰り返したが、何度掛けても結果は同じで、次第に祈りが諦めに変わっていく。
――きっと、カガリは意図的に、アスランからの電話に出ようとしないのだ。
暗澹とした気持ちで、それでも望みを託して、カガリにメールを送る。文面は、「すぐに連絡してほしい」ということしか書けなかった。
それから、かなり低い確率しか残されてはいないが、カガリの友人に電話を掛けた。だが、それも、共通の友人が少ないために、すぐに終わってしまう。
最後の一人は、カガリの学生時代の友人だった。
電話の向こうで、赤ん坊の泣き声がする。子どもをあやしながら、彼女がアスランの問いに答える。
しかし、その返答も、アスランが望んだものではなかった。「忙しいところ申し訳ない」と謝って、短い通話を終わらせた。
考え付く限りの行き先を当たり終わり、アスランは途方に暮れた。
カガリが他に行きそうな場所すら思いつかないなんて――
最近は、仕事が忙しくて、カガリと碌に話もしていない。
――離れて不安になるなら、もっと大事にしてあげれば良かったのだ。
モドル≪ 【目次】 ≫ススム
PR
この記事にコメントする