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種ガンダム(主にアスカガ)のブログサイト
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あの……すみません。
本当に面白くないですよ。面白くないですからね。(注意はした!)
なんちゅーか、このくだらなさを笑って下さると有り難いかも。
それでも良いよと言ってくださる方は、リード・モア……










※ アスカガ大学生パロ(現代日本風・幼馴染)
『プレゼント ~ From Athrun To Cagalli ~』 (1)

 



 カガリは、赤い包みが潰れないように、そおっと抱き寄せた。
 広辞苑ほどの大きさを持ったその箱は、アスランがカガリの誕生日にとくれたものだ。
 中身はなんだろう。
 アスランのことだから、本当に辞書や事典の類ではないかとも思ったが、重みはそれほどない。
 家に帰ると、早速、箱に斜めに掛けられた金のリボンを解いた。逸る気持ちを抑え、包装紙をビリビリに破いてしまわないようにことさら慎重に、テープを剥がした。
 包装紙を剥ぎ、中の白い箱を開ける。
 果たして、現れたのは――



 『醤油差し』だった。





「なんで醤油差しなのかなあ?」
 先ほど昼食を取り終えたカガリは、次の講義にまで時間があるため、同じ学部のフレイ、ラクス、ミリアリアと共に、ラウンジでコーヒーを飲んでいる最中だった。
 彼女たちからも、誕生日のプレゼントをもらい、今年はどんなプレゼントをもらったのかを話していたのだが、恋人のアスランにもらった風変わりなプレゼントについて、友人たちに相談したのである。
「知らないわよ。そんなの。本人に聞きなさいよ」
 フレイは、流行のネイルをほどこした細い指を、艶やかな赤毛に巻きつけながら、突き放すように言った。
「それができたら、苦労しないよ」
 律儀なカガリは、気に入らぬプレゼントとはいえ、今朝会った時にもアスランに礼を告げたのだが、彼ははにかみながら「気に入ってくれた?」と言ったのだった。
 彼がどうやら本気でこのプレゼントを考えてくれたことが分かってしまっただけに、カガリには品物にケチをつけるようなことを言うのがためらわれた。
「単に趣味が悪いんじゃないの?」
「う……」
 アスランに好意的なカガリでさえ、それは否定できない事実だ。なにしろ、恋人への誕生日プレゼントが、『醤油差し』なのだから……
「カガリは、もう少し着飾れば、私に次ぐぐらいのイイ女なんだから、そんなセンスのない男のことなんて放っておきなさいよ」
 フレイは異性の好みに対してうるさい。それは、釣り合いが取れなければ恋人にはなれないという彼女の価値観によるものである。すなわち、恋人への評価が、己の価値を決めるということであり、その評価基準が高くなるのは、彼女の美貌にしてみれば当然であった。
 そんなフレイが、ブランドのロゴが入った高そうなボストンバッグを、丁寧に椅子の上に置いたのを、ミリアリアが見逃さずに指摘した。
「もしかしてそれ、新作?」
 元々、フレイにも、見せびらかす気持ちがあったのだろう。それは、先日付き合い始めた恋人からプレゼントされたものだという。
「でも、ねだったわけじゃないわよ。あいつが勝手にくれたの。『こういうの、好きだろう』って」
 それを言うなら、カガリだってアスランに醤油差しをねだったわけではない。『こういうのが好き』なわけでもないのだ。
 プレゼントの格差によって生み出される微妙な雰囲気を、ミリアリアが話を戻すことで払拭しようとした。
「キラはなんて言ってたの?」
 カガリの双子の片割れであるキラは、アスランの一番の親友である。
 三人は幼馴染であるが、キラとアスランは同じ趣味を持っているということもあり、殊更仲が良い。カガリには分からない部分で、彼らは繋がっていて、カガリに理解できなくても、キラなら理解できているのではないかとミリアリアは思ったのだ。
「『アスランは、時々ぶっ飛んだことをするから、僕にも分からないよ。でも、それがアスランってことなんだよね』――だそうだ」
「確かに、ぶっ飛んでるわね……」
 キラの回答そのものが『ぶっ飛んで』いる。  
 キラは時々、こちらを煙にまくようなことを言う。だが、彼にとってはそれが普通のことであり、頭の良い人は、凡人には得てして理解できないことを言うものだ。
 そして、あのアスラン・ザラが、こんな『ぶっ飛んだ』ことをするというのが、ミリアリアにとっては理解不能なのであるが、親友であるキラにとっては、特に気にかけることでもないようだった。
 品行方正、文武両道、温厚篤実、沈黙寡言などなど、アスラン・ザラには、やたらと四字熟語が似合う。優等生ぶりが板に付いており、悪く言えば、型にはまった言動しかしないとも言えるが、彼の学内での評価は著しく高い。
 そんな彼が、女子大生――それも、彼の思い人である女性に対して、『醤油差し』を贈ったということに、彼の表面しか知らない周囲の人間は首を傾げざるを得ないのである。
「今までは、何をもらっていたの?」
 もはや、ミリアリアだけが、このくだらない悩みに真摯に相談に乗っている。
「ぬいぐるみ。鉄アレイ。フリスビー。帽子。バスケット・ボール。参考書。ウィリーズ・ブート・キャンプ……」
「何? そのライン・アップ?」
 形良く整えられた眉をしかめてフレイが聞いた。
「参考書以外は、前から、欲しい欲しいって思ってたやつだ。」
「参考書は?」
「大学受験に間に合いそうになかったから、アスランがこれをやりこめばセンター試験を突破できるって、プレゼントしてくれたんだ」
 あの時は大変だった。参考書をサボれば怒られ、真面目に取り組んでも、理解できなければ怒られ。カガリが大学に受かるようにと、アスランなりの愛情だったのだろうが、何度『馬鹿!』と罵られたことか……。今でも、彼のスパルタ指導は、夢に出てくるのだ。
「じゃあ、おばかなカガリのために用意された謎かけだったりして」
「フレイ!」
 口の悪いフレイを、ミリアリアが嗜めた。
「謎はかけられないが、醤油とかソースはかけられるぞ」
「何、上手いこと言ってんのよ!」
 ボケっ放しのカガリを、ミリアリアが突っ込んだ。
 今までのやりとりを、にこにこと見守っていたラクスが、
「あの、お聞きしてもよろしいですか?」
 と声を発した。
「今までは、欲しいと思っていたものをいただいていたのですか?」
「そうだぞ。参考書以外は」
「それは、直接、アスランにリクエストしていらしたのですか?」
「いや。……そういえば、リクエストしてないのに、なんでアスランには分かったんだろう?」
「幼馴染だから、分かったとか?」
 ミリアリアが言外に、カガリは分かりやすいからというニュアンスを持たせて言った。
「それにしては、今年のプレゼントだけ、欲しくないものだったのは、おかしいと思いませんか?」
「確かに……。じゃあ、自分が気に入ったものを贈ったとか?」
 ミリアリアが言外に、アスランは押し付けがましいところがあるからというニュアンスを含ませて言った。
「インテリアや料理に興味のある方なら分かりますが、アスランはそうではありませんわ」
 ラクスの言うことは、いちいち的を射ている。
 謎は、さらに深まるばかりであった。
 本当は、アスランが、カガリを想ってくれたものなら、カガリは何だって良いのだ。でも、『醤油差し』というプレゼントは、アスランがカガリをどう思ってくれたものなのかが、全く分からないからこそ、思い悩んでしまうのだ。付き合い始めてからの、初めてのプレゼントだっただけに、肩透かしも大きい。

 しかし、答えは、こちらが探し当てるではなく、向こうのほうからやってきた。

 





※こんなしょーもない感じで、(2)へとツヅク……


【目次】




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今更ながら、種ガンで二次創作。
いつかは、サイトになるはず……

だったけど、なりませんでした。
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