種ガンダム(主にアスカガ)のブログサイト
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■ キーワード8 『水』
(時間・舞台不明)
「カガリ!! ちゃんと傘の中に入れ!!」
「もう、これだけ濡れれば同じだ! 結構気持ちいいぞ!」
カガリは、傘から駆け出して、水溜りにばしゃばしゃと、足を突っ込んだ。
こういう時のカガリは、人の言うことを聞こうとしない。
「じゃあ、これだけでも着てくれ。身体を冷やすと、風邪をひく」
アスランはカガリに、自分が着ていた黒いジャケットを差し出した。
「別に寒くないからいい。お前が着てろよ」
「いいから、着ろ!!」
嫌がるカガリに、無理矢理ジャケットを肩に掛けた。これだけは、何としても着てもらわねばならない。
カガリの着ている白いシャツは、もうすっかり雨粒を吸い込んで、中に隠したはずの艶めいた象牙の肌を透かして見せる。
アスランにとっては、目の毒だ。
それに、こんな姿を他の男に見せるわけには行かない。
強く勧めると、不承不承という感じで、カガリがジャケットに袖を通した。
「早く家に帰ろう」
家に帰ったら、カガリをすぐに風呂に入れさせなければ。国道沿いの歩道を、アスランが車道側に並んで、カガリを促して歩く。
二人の傍を、ダンプカーが通った。ハイスピードで水溜りを踏んだダンプは、盛大に水飛沫を上げる。
傘を差していたはずのアスランは、上から下まで水をかぶり、傘に入ろうとしないカガリよりずぶ濡れになった。
呆然とするアスランの横で、堪え切れない笑いが漏れる。
「――っ何だよ!?」
むすっとしたアスランが、苛立たしげに傘をたたむ。
止まらない笑いを何とか押し込めた後で、カガリはアスランの横顔を見つめる。カガリが笑ったから拗ねてしまったのだろうか。薄く形の良い口が少し尖っていて、目元が微かに赤い。
前髪から滴る水滴が、つうっとアスランの白皙の頬を伝い、秀麗な顎の先から落ちた。
「水も滴るイイオトコだな。アスラン!」
にっこりと、お日様のような笑顔で、カガリが言った。
『口説きバトン』目次
【あとがき】
濡れ鼠アスラン(←それが、言いたかったんか!!)
カガリってほんま男前やわ。時々アスランの立場がない……
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