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※アスカガ学パロ(高校生・幼馴染)
『つつゐづつ』 7-1
休日を挟んで、今日は月曜日。
カガリは、選択科目である生物の授業ために、C組の教室へと移動した。
アスランは、物理選択であるから、この時間は違う教室になる。
カガリは、アスランをもの言いたげに見つめるが、アスランは黙々と教科書やノートの準備をしている。その背中は、潔癖なまでに真っ直ぐだ。
何故だろう。アスランに近付こうとしているのに、どんどん離れていっているような気がする。
十年以上一緒にいて、こんなに遠く感じたのは初めてだった。
アスラン、と名前を呼ぶのもためらわれるほどなのだ。
あの綺麗なみどりの瞳が見たいと思う。いや、少し違う。
(こっち向けよ、アスラン)
見つめられたい。そう思う。
カガリが、C組まで移動すると、隣の席の男子が声を掛けて来た。
ラスティ・マッケンジーは、カガリのクラスメイトで、たまに話し掛けてくれる。当初は、男というだけで無節操に警戒していたカガリだったが、彼がアスランの友人ということもあり、次第に話し掛けられることに慣れていった。
「よ! 元気ですかよ!」
「何だよ、それ。毎日会ってるだろ?」
テレビのお笑い芸人の真似なのだろう。おどけた仕草に、くだらないと思いつつも笑ってしまう。
「んー。なんつーか、元気ないじゃん」
「……そうかな」
「うん。まあ、見てれば分かるよ」
「……そういうもんかな」
分かりやす過ぎるのかな、と思う。じゃあ、アスランも気がついて、カガリを気にかけてくれればいいのに――自分が上手く仲直りできないくせに、少し身勝手なことを考えてしまう。
「アスランと喧嘩でもしたんか?」
「喧嘩……というか……」
どう話せばいいのか分からず、困惑する。
アスランは、彼に打ち明けていないのだろうか。多分、そうなのだろう。あまり自分のことを話さないアスランらしい。
「アスランと付き合っているんだろ?」
「……みんな、そう言うんだな」
「え?」
ラスティだけではない。クラスで仲のいい子は、みんなそれを聞いてくる。
カガリは、誰かの恋愛の対象になるような、男を誘うような女になるのは嫌なのに。
中学に入ったあたりから、周囲は誰が誰と付き合ってるだの、別れただの、そういう話題に持って行きたがっているようだから、アスランとカガリの関係も恋人に見えるのかもしれない。そういえば、ラクスもそんなことを言っていたなと思う。
「いや、さ……。付き合うとかそんなんじゃないのに、みんなアスランと私が付き合ってるって……」
「いや、だって、あいつ! おれが前に聞いたら……」
そこで、何かに気がついたようで、彼は口ごもる。
「何?」言いかけて止められると気持ちが悪いので、聞いてみると、彼は真剣な顔になって言った。
「カガリ。今日、放課後暇か?」
「部活があるけど……何だよ、急に改まって」
「じゃあ、部活が終わるまで待ってるから」
真剣な顔に気圧されて、頷く。
頷いたのと同時に、授業開始のチャイムが鳴る。彼の用事が何なのか考えたのだが、授業の内容に集中するうちに、すっかり頭の中から抜け落ちてしまった。
モドル≪ ≫ススム