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※アスカガ学パロ(高校生・幼馴染)
『つつゐづつ』 5-2
午前中の授業が全て終わり、カガリは考えたいことがあったため、昼休みは一人で過ごすことにした。
体育館脇にある日当たりの悪いベンチに座る。外で昼食を取る者は、もっと暖かい場所にいるのだろう。カガリのいる場所には人気がなかった。
カガリは、今日の保健体育の授業を反芻する。
(その気もないのに、男をけしかけるのは、かわいそう……か)
自分の何が悪かったのだろうと思う。わずか五歳の子供であったカガリが、あの男をけしかけたから、あんな目にあったのだろうか。
当時のことを思い出すと、ぞっと身震いがする。
カガリを助けてくれたアスランは、頭を打って、カガリが何度呼びかけても目を開けてくれなかった。こめかみの傷からは血がたくさん出て、一生懸命手で押さえたけれど、カガリの小さな手では受け止めてあげられないほどの量だった。
――怖かった。
幸い、アスランは無事だったが、死んでしまうのではないかと、カガリは怖くて泣いてしまったのだった。
十年前、男をけしかけたのがカガリだったなら、アスランにあのような行動に出させたのも、カガリだったのだろうか。
しかし、アスランは今までカガリに優しくしてくれて、そんなことをする人間ではなかったはずだ。
心当たりは一つだけある。あの時は気がつかなかったが、あのDVDは、アダルトビデオと呼ばれる類のものであったのだろうと思う。アスランはきっと、あれを見てそういう衝動を抑えられなかったのだろう。あのDVDはカガリから見ようと持ち掛けたもので、アスランにしてみれば、誘われたと思ったのかもしれない。
身体を暴かれるのは怖かったけれど、悪いのは、やはりカガリだったのだ。
だが、十年前の男とは二度と会いたくないが、アスランとは元通り仲良くしたい。
それに、なんだか寂しくなった。アスランは、カガリが性の対象にならないなら、もう今までのように仲の良い幼馴染でいてくれないのだろうか。カガリの心は、アスランに必要とされていないのだろうか。
アスランの方から空けられてしまった距離を、どう詰めれば良いのか。アスランが離れた原因が分かっても、今まで彼と一緒にいることが当たり前だったカガリには、仲直りの方法までは分からなかった。
モドル≪ ≫ススム
【あとがき】
こめかみは皮膚が弱く切れやすい上に、動脈があるので、怪我をするとスパッと血が出ることが多いです。