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※アスカガ学パロ(高校生・幼馴染)
『つつゐづつ』 3-3
「恋愛ものってたくさんあるんだな。多すぎて分からない……」
「うん」
カガリもアスランも、恋愛ものの映画はあまり見ないので、詳しくない。
狭い店内に効率的に配架されたビデオやDVDの棚の間を、あてもなくぐるぐると歩いてみても、観たいものを選ぶことができないでいる。
「店員さんに訊いてみようか?」
「その方が速いかもしれないな」
あてもなく探し歩くのも疲れてきたカガリに、アスランも同意した。
これから映画を一本観れば、夕飯の時間ぐらいになる。カガリが自分の家に帰る時間を考えると、ここを早く出た方が良いとアスランは思った。
アルバイトの大学生と思しきレジの男性店員は、暇そうにしているからちょうど良い。
カガリは、少し緊張しながら――知らない男性と話すときは、いつでも緊張してしまう――その店員に、目当ての商品を尋ねた。
「レズのビデオありますか?」
その姿は、未知の敵に真っ向から挑む英雄の如く。将に威風堂々であった。
店員は、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしている。
(ちょっ! カガリ!!)
アスランは、女性同士の同性愛を扱ったガールズ・ムービーを見せればいいと思っていたのだが、その訊き方では、アダルトビデオを探しているようである。
「違うんです! そういうビデオじゃなくて、もっとこうソフトなものを探しているんですが――」
店員は、みなまで言うなといった様に、首を振ると、奥からパッケージのない黒いDVDを出してきた。
「これ、もう廃棄処分のやつだからあげるよ。本当は、未成年には貸しちゃいけないんだけど、俺も君の気持ちは分かるからさ。もう商品にはならないやつで、店長が欲しかったらやるって言ってたから大丈夫だ」
「あの! そうじゃなくて……」
「レズものとしては、初心者向けだと思うから、彼女も一緒に観れるよ」
しっかりやれよ、と優しい笑みをくれる店員に、応えることが出来ないでいるアスランの代わりに、カガリが嬉々としてビデオを受け取った。
(そうじゃないんです……。俺たちが求めているのは、そういうものじゃないんです……)
アスランの心情はそっちのけで、カガリは「早くアスランの家に行って観てみよう」とはしゃいだ。
レンタルショップからの帰り道、カガリはご機嫌だった。
「親切な人だったな。ただでDVDがもらえるなんて」
「カガリ。本当にこれ見るのか?」
「当たり前じゃないか!」
意気揚々と答えるカガリに、アスランは弱ってしまう。
「止めておいた方がいいと思うんだけど……」
「なんでだよ?」
なんでと言われても、それをカガリに具体的に話すことができるほどの面の皮の厚さ――それは、度量と言うべきかもしれない――を、アスランは持っていない。
恐らく、カガリはこういったものに免疫が全くないはずだ。何とか止めたいと思うものの、言い出したら聞かないカガリを止めることは不可能であった。
※※未成年は、アダルトビデオを見てはいけません。18歳になる(高校を卒業する)まで待ちましょう。また、未成年にアダルトビデオをあげたり、貸したりするのもいけません。
モドル≪ ≫ススム