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※アスカガ学パロ(高校生・幼馴染)
『つつゐづつ』 1-2
草薙ヶ丘に、五時の音楽が流れた。郷愁を誘うような童謡が、赤く染まった夕焼け空に響き、子供たちに「もう、お家にお帰りなさい」と優しく告げる。
カガリと別れてから、サイの家でテレビゲームをしていたアスランも、家に帰ることにした。
自宅までの帰り道、誰かがカガリの家の前で立っている。カガリの母親だ。彼女は、アスランを見て、尋ねた。
「カガリは一緒じゃなかったの?」
「……しらない。とちゅうで、カガリとあそぶのやめたから」
喧嘩をしてしまったとは、アスランは気まずくて言えなかった。アスランにとって都合の良いことに、カガリの母親は、そんな彼の様子には気が付かなかった。
「そう……。あの子、まだ帰ってきてないのよね」そう言って、心配そうに暮れゆく空を眺める。
どうも、彼女は帰りの遅いカガリを心配して、玄関の前で待っていたようだった。
アスランにとっても、カガリの帰りが遅いのは心配だったが、先程の怒りがまだ治まっていない。そのまま自分の家に帰ることにした。
*****
アスランが怒ってどこかに行ってしまった後も、カガリは御社の境内にいた。
(アスランのやつ。そんなに、ないと・じゃすてぃすがやりたかったのかな~。いってくれれば、かわってあげたのに。おこりっぽいやつだよなあ)と、全く的外れなことを考えていた。
アスランの気持ちを察してやれないカガリは、理不尽に喧嘩を吹っかけられたことに対する怒りしかない。
しかし、根が単純なカガリは、怒りもどこかに忘れて、森の中を探検し出した。もの珍しい植物や、次々と変じる雲を眺めたり、水たまりのアメンボをつかまえたり。
そうして、一人で遊んでいると、一人の男が近付いてきた。
「――こんにちは」
「こんにちは! おじさんだれだ! わたしはカガリ! ごさい!」カガリはそう言って、指を広げた右手を前へ突き出した。
「ははは……元気だねえ。おじさんは、ゴトーだよ」
「ごとー!? もしかして、さとーのおとうと?」
「サトー?」
「うん。ふりーだむにでてくるあくやく。すぐしんじゃうの」
「……そうかあ。カガリちゃん。おじさん、ちょっと、困っているんだけど、助けてくれるかな?」
「こまってるの?」カガリは、首を傾げた。
「そう。おじちゃんに付いて来てくれる? 道が知りたいんだけど、よく分からなくて」
「でも、おかあさんが、しらないひとについていっちゃだめだっていってたぞ」
「……知らない人じゃないだろう? もう、おじさんの名前も知っているだろう?」
なんとなく、釈然としないながらも、カガリは頷いた。
「みちがしりたいなら、よくわかるばしょがあるぞ」
無意識に警戒したのか、男の言う通りにはしたくなかった。だが、困っている人を見捨てるわけにもいかない。
カガリは、男がどこに行きたいのかは分からなかったが、彼が行きたい場所が見えるだろう場所へと案内することにした。
モドル≪ ≫ススム