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※アスカガ学パロ(高校生・幼馴染)
『つつゐづつ』 1-4
アスランが目覚めたのは、病院のベッドの上だった。
昏倒している男と男の子の傍で、女の子が泣き喚いているところを、犬の散歩で通りがかった近所の人が発見してくれたらしい。
男もアスランも、脳震盪を起こしており、近所の人が手配した救急車で運ばれた。
アスランは、こめかみを五針ほど縫う怪我を負った。ずきずきと石段にぶつけた身体中が痛み、お世辞にも良い気分とは言えなかったが、カガリを守れた自分が誇らしい。
カガリは、泣いて泣いて大変だったが、アスランが無事だと知ると、笑顔を見せてくれた。
アスランの両親も、カガリの両親も、子供たちが事故にあったという知らせを受け、慌てて病院に駆けつけた。特に、カガリの両親は、カガリを助けて怪我をしたアスランとその両親に、泣きながらお礼を言ったり、申し訳なさそうに謝ったりで大騒ぎだった。
男は、これまでにも小さな子供に性的な暴行を働いていたらしい。アスランのお手柄で数々の余罪が見つかり、今は服役中だ。
そうして、事件は静かに風化していくかに見えた。
しかし、過去をなかったことにするなんて、誰にもできやしない。
事件後のカガリは、知らない男性を見ると、身を強張らせるようになった。
一方で、日常生活は問題なかった。学校の担任教師のような毎日顔を合わせる人間は、みな女性であったし、少し警戒してしまうだけで、軽く接する分には大丈夫だったからだ。
だが、カガリやアスランが思春期と呼ばれる世代になった時、変化が生じた。
かつては男友達と混じって遊ぶことが多かったカガリではあるが、中学に入ったあたりから男女の性差が大きくなったせいか、すっかり男子生徒には近付かなくなってしまったのだ。
例外があるとしたら、幼馴染のアスランだけである。
そして、カガリが一人の変質者によって、強烈なトラウマをもらってから十年が経った――
モドル≪ ≫ススム