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■ キーワード10 『時』
(種デス後)
初めは、変な奴だと思った。
二度目は、不思議な子だと思った。
三度目は、ちょっとお節介だけど、優しい子だと思った。
それから、偉そうで豪快で、でも強がりで泣き虫で、何だかとても気になる女の子だと思った。強いところも弱いところもたくさん知った。危なっかしくて、ハラハラさせられるけど、逆にちゃんと救ってくれて。激しさの裏に潜む繊細さに、何度も胸を締め付けられた。
敵として出会って、戦友になって、彼女の部下になって。
彼女と出会ってから、優しくて暖かいものをたくさん知ったけど、思わぬ傷をもらうことも多々あった。
嬉しくて、切なくて、楽しくて、寂しくて。
それでも――
「後悔したことはなかったな……」
「え?」
明日の記者会見のために、想定される質問と模範解答が記された書類を、文字通り睨んでいたカガリが顔を上げる。
アスランは何でもない、と言うように微笑んで首を振った。
代わりに「ここ、皺になってるぞ」と、三本の谷を刻んだカガリの眉間をつついてやる。
カガリは皺を伸ばすように、眉間をさすってため息を吐いた。
「だってなあ。なんだか、嘘と方便ばっかりで、せっかくの門出の日にケチが付きそうだ」
「『嘘も方便』だってことは、十分良く知っているだろ?」
うーん、と言いながら、カガリはソファにごろりと横になって、書類を明かりに透かした。曲がったことが嫌いなカガリには、納得しかねるようだ。
だが、そうは言っても、本番ではきちんとやり遂げるのだろう。
明日、彼女はアスランのためだけに、白いドレスを着てくれる。
「十年後も、二十年後も、君が好きだよ」
――君を知る度に、愛しさだけが募っていく。
『口説きバトン』目次
【あとがき】
己の想像力では、結婚させてあげられないので、ここで結婚させてみる。
「Congratulation! Athrun & Cagalli !!」 結婚式には是非私も呼んで下さい。