忍者ブログ
種ガンダム(主にアスカガ)のブログサイト
197. 195. 194. 34. 31. 190. 30. 188. 183. 181. 177.
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


※アスカガ・運命 






 ――気をつけて

 そう言って、彼を送り出した。 別の言葉を呑み込んで。


  Other Words





 寝台から見上げる空は、見慣れぬ形に切り取られている。
 今日の空は、いつもに増して青かった。ここ暫くスコールには御目にかかっていないからだろうか。青が押しかかってくる程に、濃密だった。
 からりと晴れ渡り、海からは心地好い貿易風が吹いてくる。オーブで最も過ごしやすい季節。人々は、風にその身を遊ばせながら、良き日の訪れを待っていた。
 カガリは、窓越しに空を見上げては、溜め息を吐いた。その向こうにいる人のことを思って。
 後悔しているのかと問われれば、間違いなく後悔はしていても、正直には答えられない。カガリは、自分のしなければならないことを、自分の意思で為したのだ。
「…………」
 声は掠れて、上手く音を為さなかった。それでも、カガリは確かに聞いたのだった。耳にこびりついてしまった自分の声を。
 呼べば必ず来てくれたのに、ここでは、その名を呼ぶことすら出来ない。
 彼とは、会えないまま、別れてしまった。しかし、会えたとしても、別れを言う勇気は無かった。カガリに出来たのは、時計の針を戻して、記憶に会いに行くことだけだ。
 あの痛々しい程に、真剣だった緑の瞳は、きつく胸を締め付け、身が蕩けるような優しい声は、容易く感傷に浸らせる。
 独りでは、夢も希望も繋ぎ止めることは出来ず、交わした約束は、心に痛みを残して霧散した。
 父の罪を背負う彼には、言えなかった。それが彼の意志であれば、やはりカガリは、不安を押し隠して、その背中を押すのだろう。


 あの時、呑み込んだ言葉を、伝えるべきだったのだろうか?
 否、言葉にしなければ、それはないに等しい。
 最初から、別の言葉など存在しなかったのだ。



 暫くして、部屋の扉が叩かれた。この神経質な音は、ミセス・セイランのものだ。
 カガリはのそりと寝台から起き上がり、義母となる女性のために扉を開けた。
 良き日が来れば、カガリは臣民に祝福されて、『幸せな花嫁』になる。











【あとがき】
携帯で書いたものを、幾分か修正してアップ。
とあるJ-POPのタイトルを拝借したのですが、確かめたら、全然違うタイトルでした。(勘違い)



拍手[12回]

PR
この記事にコメントする
NAME : 
TITLE : 
COLOR : 
MAIL ADDRESS : 
URL : 
COMMENT : 
PASSWORD : 
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
ブログ内検索
プロフィール
性別:
非公開
自己紹介:

今更ながら、種ガンで二次創作。
いつかは、サイトになるはず……

だったけど、なりませんでした。
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ | [PR]
shinobi.jp