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中編で削った部分をリサイクル(読んでなくても、多分分かる内容です。)
こういう削ったネタが多いんですよ。
しょーもない小ネタにこだわりすぎて、話が進まないから……。
身支度を済ませると、包丁とまな板の触れる音がしてきた。キッチンを覗くと、カガリが昼食を作り始めている。
カガリの手際は悪くないが、水菜を切る様子は大胆だった。あの華奢な体躯からは想像もつかないほど、彼女は力持ちなのだ。
それにしても、久しぶりに彼女が料理をする様子を見た。朝は、どちらも忙しいので、各自勝手にトーストとコーヒーを用意しているし、夜は、アスランの帰宅時間が遅いので、料理は既に出来上がっているのである。
そうして、手持ち無沙汰に、カガリの調理を後ろから眺めていたが、彼女ばかりにやらせるのも気が引けて、アスランもキッチンに立つことにした。
「手伝うよ」
「あ、じゃあオリーブオイルで、にんにく炒めてくれる?」
スライスしたにんにくを指差しながらカガリが言った。その間にカガリは、食器の用意をするようだ。
アスランはシンクの下からフライパンを取り出した。そしてオリーブオイルを探したが、サラダオイルの横にはない。まだ封を切っていないのかもしれないと思い、買い置きの調味料の入っている扉を開けたが、そこにも無かった。沢山の引き出しや扉を、開けては閉めてを繰り替えす。だが、それでも見つからず思い悩んでいると、カガリが冷蔵庫からオリーブオイルを取り出して、調理台に置いた。
「あ……そんなところにあったのか」
「湯が沸騰したから、パスタ茹でてくれないか?」
「……うん」
どうやら、戦力外通告を受けてしまったらしい。
湯に塩を入れて、パスタを入れる。麺がくっつかないように、ひたすら湯がきながら、茹で時間の七分が来るのを待った。
カガリはその横で、てきぱきと手際よく作業を進めていく。オリーブオイルをにんにくで香りをつけると、鶏肉と水菜と鷹の爪を炒め、塩コショウを振りかけた。そして、「ちょっとごめん」と言って、パスタの茹で汁をお玉ですくうと、少しずつフライパンに入れ、コンソメを入れた。
アスランが、ただパスタを茹でている横で、カガリはあっという間に、パスタソースを作ってしまった。感心していると、ぴぴぴぴぴ……というアラームの平和的な電子音が鳴った。
湯を切って、麺をフライパンの中に入れると、カガリが前後にフライパンを回すようにしながら、パスタをソースに絡めていく。
が、少し力が強すぎて、麺が零れてしまった。
つい笑ってしまうと、カガリにじろりと横目で睨みつけられてしまった。
「貸して」
フライパンを受け取り、零れた麺や具をすくい入れると、適度な力加減で動かす。綺麗に弧を描きながら混ぜられていくパスタに、アスランは、少しは自分の仕事が出来たと胸を撫で下ろした。
しかし、アスランが、「どう?」と言いたげにカガリを見ると、彼女は黙々とパスタを茹でた鍋を洗っており、アスランの活躍を見ていなかったのだった。
【あとがき】
ドヤ顔したのに、見てもらえなかったという悲しさ……。