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※アスカガ・戦後
(死ネタではありません。)

『Please Kill Me Softly With Your Love.』 ― at break of dawn ―





 甲高い小鳥の囀ずりが、どこかから聞こえてきた。
 最初に聞こえた時は夢かと思ったが、何度か数を数えた時、カガリは自分が眠りから覚めていることに気が付いた。
 顔だけを動かして窓を見遣ると、分厚いカーテンが透けている。カガリは、その色合いから、おおよその時刻を推し測り、良い頃合いに目が覚めたと嬉しくなった。
 身体に絡んだ邪魔な腕を退けると、ベッドから降り、肌蹴たガウンの前を合わせる。裸足では口煩い者に怒られるので、スリッパを探す。スリッパは、ソファの辺りに転がっていた。行儀悪く、ひっくり返ったスリッパを足で直して履くと、音をたてないようにしてバルコニーに出た。
 外は、清々しい空気に満ちている。大きく吸い込んで、一つ伸びをするだけで、肺の奥の方に活力が漲るのが分かる。
 カガリは柵にもたれながら、それの訪れを待った。――この世で最も美しいものの一つである、日が昇る瞬間を。
 後少しで、彼女の目的は達成されるはずだった。
 しかし、気配もなく後ろから近付いてきた者によって、遇えなく目的を達成することは能わなかった。
「……カガリ。何をやっているんだ? 一人で窓際には近付かないようにと言ったはずだ」
 アスランは、カガリを後ろから羽交い締めにすると、寝起きの不機嫌そうな声で言った。
「ちゃんと声は掛けたぞ。一緒に朝日を見ようって。でも、お前起きなかったじゃないか」
「本当か?」
「ホントだって」
「……嘘だな」
「どうしてお前に分かるんだ? ぐっすり寝ていたのに」
「これから調べれば分かる……」
 意味深長に囁いたかと思えば、アスランはカガリの首筋に顔を埋めた。
「……ヤダ。朝日が見たい」
 身を捩って抵抗する。
 すると、アスランが、まるで、この世で最も美しい言葉を口にする時のように、殊更大事にカガリの名を呼んだ。
 それだけで、カガリは動けなくなった。
「カガリ、まだ寝ていよう? ……ね、カガリ」
 いつもより幾分か低い、泣きたくなるほど優しい声。
 身体の奥に響いたかと思うと、指の先まで甘く痺れて、頭には靄が掛かったようになってしまう。
「イヤ……」
 もはや言葉だけとなった弱々しい抵抗も、耳に息を吹き込むように名を呼ばれると、容易く封じ込められてしまった。
「カガリ……」
 カガリが抗えないと知って、わざと耳元で、その声を響かせるのだろうか。

 ――この声で囁かれたら、何でも言うことを聞いてしまうかもしれない。

 悔しさは、心地よさに紛れていく。
 カガリは、広く逞しい胸に背中を預け、己の全てを彼に委ねることにした。















【あとがき】
携帯で書いたものを幾分か修正。
石田さんも進藤さんも、お二人の声も好きなんですけど、演技もすごいですよね。
カガリはアスランに甘える時だけは、少し可愛い声になってるし、アスランも優しくてエロい(笑)声になってるし。一緒にいた間、アスランはカガリを相当可愛がっていたんだろうな、と思います。ご馳走様でございました(笑)。
特に、石田さんはインタビューとかでカガリとの関係を良い風に言ってくれないんですけど、アニメ内ではそういうところを出さないですもんね。やっぱり、プロだなと思います。




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今更ながら、種ガンで二次創作。
いつかは、サイトになるはず……

だったけど、なりませんでした。
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