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※アスカガ学パロ(高校生・幼馴染)
『つつゐづつ』 8-3
カガリは、晴れ晴れとした気持ちであった。
男に、性の対象として見られることは、気持ちが悪い。ましてや、触れられるなんて、考えたくもない。
だが、自分の味方たり得る人間から触れられるなら?
アスランの場合と、ラクスの場合とで、異なった自らの感情。ラクスの手に触れられて、やっと分かった。
硬くて長い指に胸を掴まれた時、不自然に鼓動が高まり、いたたまれない恥ずかしさを覚えた。もしかしたら、あれを昂揚と呼ぶのかもしれない。
アスランが、何を考えているかは分からない。けれども、自分の気持ちを伝えてみようと思う。
自分の気持ちがどういうものであるのか。それを言葉にするのは難しい。未だ確信はないが、これだけは言える。
触れられるのは嫌ではないこと。むしろ、ドキドキして悪い気分ではなかったこと。でも、身体だけでは嫌であること。できれば、時間をかけて、カガリの心ごと求めて欲しいと思っていること。
二週間近く、アスランの顔色ばかりを伺っていたが、そんなお淑やかなことはカガリの性には合わない。
妙に吹っ切れたカガリは、今日も部活を終えて、教室までアスランを迎えに行った。
だが、アスランはいなかった。
「なんだよ……。アスランのやつ……」
今朝、カガリが無視をしたからだろうか。だから、アスランも怒って帰ってしまったのだろうか。
アスランに悪態を吐くも、聞いているのは当のカガリだけしかいない。
カガリは、一人下校することにした。
バスを降りて、草薙ヶ丘の住宅街の中を歩いていると、自分の足音に重なって、誰かの足音がした。
誰か後ろにいるのだろうかと思って振り返ると、誰もいない。
しかし、カガリが歩き出すと、後ろの足音もついて来る。次第にカガリは速足になった。後ろの足音も、カガリと同じ速さになる。
(やだ! 跡をつけられてる!)
カガリは走りながら、心の中で、アスランを呼んだ。
どうして、こういう時に名前を呼んでしまうのだろう。気がついていなかっただけで、カガリはアスランにいつも助けられていたのだ。
だが、今のカガリは、アスランに甘えるだけの自分を、良しとはしなかった。
(私が弱いから、アスランが危ない目に遭うんだ)
走るスピードを一息に上げて、角を曲がる。後ろをつけている奴は、カガリの急加速に出遅れたようだ。
電信柱の影に隠れて、奴を待ち構える。
(きた!)
現れた人影に向かって、鞄をフルスイングさせる。目指すは、奴の鳩尾である。どす! という鈍い音がした。
(入った!)
次期四番バッターであるカガリのフルスイングを喰らって、人影が呻きながら崩れた。
「おい! お前、何のつもりだ! さっきから、私の跡をつけてただろ! 警察に突き出してやる!」
声が少し震えていたが、気取られないように虚勢を張り、ポケットに入っていた携帯を取り出した。警察の番号が何番だったか、とっさに思い出せなかったが、とりあえず三桁の数字を滅茶苦茶に入力した時、
「……う……カガリ……」
名前を呼ばれて、見ると、アスランがうずくまっていた。
「アスラン! 何やってるんだ、お前?」
「……カガリが、一人で帰るのが心配だったから……」
変質者だと思っていたのは、アスランだった。ほっと力が抜けてしまったが、平気な顔をして言った。
「……お前なあ。変な奴に、つけられているのかと思ったぞ」
「ごめん……」
アスランは情けない顔になった。
「大体、お前より私の方が、強いじゃないか」
まさしくその通りだったので、アスランは項垂れるしかなかった。
モドル≪ ≫ススム
【あとがき】
いやん!もう!また、長くなっちゃったわ! あと、一回で終わります。