忍者ブログ
種ガンダム(主にアスカガ)のブログサイト
221. 220. 198. 213. 212. 211. 208. 201. 207. 205. 187.
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


※アスカガ・パロディ
『fetish』





「あれ? そういえば、こんなのも持ってたか……」
 衣替えのために、洋服ダンスの中身を整理していると、使っていないパジャマが出てきた。
 以前、雑貨屋で可愛いと思って衝動買いしたパジャマだけど、私は普段、スウェットを寝巻きにしているので、殆ど使ったことがない。そもそも、寝る時に可愛い恰好をする必要などないのだ。買う前に、もう少し考えるべきだったな、と思う。
 気に入って買ったものだから捨てたくはない。でも、使わないものをタンスに入れておくのも嫌だ。私は、シンプルな生活が好きなのだ。
 さて、どうするかと暫く考えて、ちょうど良い置き場所があることに思い至った。

 でも、アイツはそうは思わなかったらしい。自分では良いアイディアだと思ったんだけどな……。



 週末は、彼氏であるアスランの家に泊まりにいく。それが、今から二ヶ月程前に始まった、私の習慣だった。
「なあ、この空いてるスペースに、私のパジャマ入れても良い?」テレビを見ているアスランに、何気無さを装って訊ねてみる。
 今までは、下着で寝転んで入れば良かったが、そろそろ寒くなってきたから、寝巻きが欲しかった。それに、折角可愛いパジャマなんだから、他人に見て貰った方が良いと思ったのだ。
 しかし、アスランの答えは、非常に素っ気ないものだった。
「え? パジャマなんて持ってきたの?」
「……駄目だった?」
「いや、駄目ってことはないけど……」
 いや、これは駄目ってことなんじゃないかよ。
 アスランは、歯切れが悪く、困った顔をしている。
 これには、けっこう傷付いた。
 アスランの部屋は、整然としていて生活感がない。とてもじゃないけど、歯ブラシや化粧品など、私の物を置ける雰囲気じゃないのだ。だから、見えない所なら大丈夫かと思って、勇気を出してみたのだけど、彼は本当に、部屋に他人の物を置かれるのが嫌なんだろう。
 人それぞれだとは思うんだけど、私は親しい人によそよそしい態度を取られるのが嫌いだ。ましてや、恋人からこんな態度を取られたら、けっこう凹む。
 だが、他人の嫌がることをするのは趣味じゃない。
 仕方ない。これは今日着たら、持って帰ろう。
 そう心の中で決めていると、アスランがおずおずと言った。
「寝巻きなら、俺のジャージ着れば?」
 ……ああ、そうですか。つまり足りないものは貸してやるから、そんなもの持ってくるなってことですね。確かにその方が、泊まりに来る側としては、荷物が少なくて助かりますよ。
 いや、別に、これを着た所を、どうしてもアスランに見て欲しかったというわけでもないから良いんですけど。――というか、一生見せてやらない。

 結局、その日はアスランのジャージを借りることにした。
 お風呂を借りた後、ジャージを着て、肌の手入れをしていると、アスランがこっちをずっと見ている。
「何……?」
「いや……、カガリって、身長いくつ?」
「最後に測った時で、一六四センチ。今はもう少しあるかも。……どうしたんだ、いきなり?」
「う、ん……。女の人には、俺のジャージは大きいと思ったんだけど、そこまででも無かったと思って……」
 ゴツくて悪かったな、と思った。
 少し大きいけれど、アスランの言う通り、ダボダボというほどではない。
 コイツは、女はみんな自分より小さくて華奢な身体付きをしていると思っているのだろうか。そりゃ、「アスランの、ブカブカだよ……(ハート)」とかなったら、可愛いかもしれないけど、ならないんだから仕方ないじゃん。
 もしかして、前の彼女と比べてるんだろうか……。モヤモヤと胸の中を虫が這いずり回るような不快感が湧いてくる。
 だが、前の彼女とは、部屋に泊まりにくるような関係ではなかったと聞いているから、やっぱりコイツの頭の中がメルフェンなだけだと思った。
 アホらしい。男の妄想にいちいち付き合ってやる程、女も暇ではないのだ。
 その日、私はアスランを待たずにさっさと寝てやった。

 次の週からは、こっそりと置いていったパジャマを着ていたが、アスランは何も言わなかった。むしろ、普段より女らしい装いを喜んでいるようだった。
 やはり、荷物を置かれることが嫌なんじゃなくて、自分の服を着せて「やっぱり俺のだと、カガリには大きすぎるか……(テレッ)」というのがやりたかっただけのようだ。
 不便だろうということで、日用品も、パジャマと同じスペースに置かせて貰えるようになった。



 それから暫くして、もう今年も残り三ヶ月を切った頃のことだった。
「これ、良かったら」と、アスランが某大型衣料店の袋を差し出した。
「何?」
「夜は大分寒くなってきたから、湯冷めしないようにと思って……」
 中には、暖かそうなパーカーが入っていた。
「ありがとう」
 私は、礼を言って、有り難く受け取った。

 さっそく、風呂上がりに着てみると、えらくサイズがデカい。お尻と手の先がすっぽりと隠れている。タグを確認すると、メンズのLLサイズであることが分かった。
 アイツ、私にブカブカの服を着せるために、わざわざオーバーサイズの服を買って来たんだな……。
 すごい情熱だと思いつつも、こういうことじゃない気がする。何か、間違っている。
 アスランにこれを見せると、大変感激して、パジャマのズボンだけを脱がされてしまった。
 彼に言わせると、手の袖が大きすぎて、くたっとなっている所が、特に堪らないらしい。


 それから、風呂上がりは下着の上にパーカーを着て、アスランを満足させてから、パジャマに着替えることが、私の新たな習慣となった。















【あとがき】
ブカブカの服が良いんじゃなくて、自分の服がブカブカなのが良いと思うんだけど……
何にせよ、最終的には付き合ってあげるカガリたんは凄く良い子。
アスランは、「暖かくして、身体を冷やすな」ぐらいしか、女の服装に拘りがない気がする。


携帯からアップしたものを、改稿・改題。(111031)



拍手[23回]

PR
この記事にコメントする
NAME : 
TITLE : 
COLOR : 
MAIL ADDRESS : 
URL : 
COMMENT : 
PASSWORD : 
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
ブログ内検索
プロフィール
性別:
非公開
自己紹介:

今更ながら、種ガンで二次創作。
いつかは、サイトになるはず……

だったけど、なりませんでした。
最新コメント
最新トラックバック
バーコード
カウンター
フリーエリア
忍者ブログ | [PR]
shinobi.jp